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長谷川希の食にまつわるエトセトラ おっちゃん

ご近所さんに面白い人が住んでいる。彼の通称は、おっちゃん。
バリバリの関西人でサーファーだ。ある晩、宴の一時間前に「ご飯食べれる〜?」と電話で連絡をよこし、ママチャリに乗ってやってきた。


この日の食卓の主役はお鍋だった。お手製のゴマだれは、やや水分が足らず
’ぽてっ‘としているのを見て「これ、野菜スティックつけたらええんちゃう?」と、おっちゃんはなんとも通な提案をしてきた。
おぉっ!それは気がつかなかったyo! 私は冷蔵庫をガバッとあけ、キャベツをちぎってお出しした。「これ、めっちゃうまいなあ〜」とぺろっと平らげた。
そして「よねちゃん、よねちゃん」と叫び出した。
なんだそれ?よねちゃん?


聞けば、お米のことらしい。
関西人はお米のことを、よねちゃんと呼ぶのだろうか???
お鍋のあとに鍋をマッハで洗い、そこに炊き込みご飯を盛り付けて出そうと思っていたのだが、しょうがあるまい。
彼にだけ、蒸らしも不十分な炊き上がったばかりのご飯をお出しした。


ガタイのいいおっちゃんが、ぺろっと平らげる姿を想像し、まるっこい曲げわっぱのお弁箱いっぱいに鮭の炊き込みご飯と漬物を添えて。
「わーこれは炊き込みご飯やな。鮭の隣は、高菜か!?」と、うれしそう。
実際は高菜ではなく、だいこんとかぶの葉っぱ。しかし、そんなことは聞いちゃいない。うんまいうんまいと、焼酎を呑みながらぺろっと平らげた。
聞けば、先程まで九十九里でサーフィンをしてきたというじゃないか。
気がついたら焼酎のボトルを、ひとりで一本あけていた。
時刻は12時をまわり、シンデレラはおうちへ帰る時間なのにおっちゃんは
まだまだ呑み足りないようだった。これから一緒にワインバーにいかないかと誘われたけれど、明日仕事があるという旦那さまに免じて、お帰り頂いた。


後片付けも一息ついたところで、おっちゃんから電話が掛かってきた。
道に迷ったらしい。道を案内し終わると、おっちゃんが言った。
「おっちゃん、どうしても一緒にワインバーに行きたいねん」


後日おっちゃんからメールが来た。
あの日は少々酔ってしまいましたが、粗相はございませんでしたか、と。
おっちゃんは案外律儀な人だった(笑)

text / Nozomi Hasegawa
photo / Nozomi Hasegawa
design / SwingArts

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